現在(2023年10月時点)におけるウェブアクセシビリティのガイドラインとして、日本国内では「JIS X 8341-3:2016」が最も一般的に使用されていると思いますが、このJIS X 8341-3:2016と一致規格である「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0」については、後に改訂が行われており、2023年10月5日にはその最新版となるWCAG 2.2がW3Cの勧告(W3C Recommendation)となりました。
今後、WCAG 2.2をベースとしたJIS X 8341-3やISO/IECの改訂が行われる可能性もあるなかで、予備知識としてここでは各ガイドラインの関係性を簡単に整理してみたいと思います。
各ガイドライン制定の時系列
JIS X 8341-3の最初のバージョンとして制定されたJIS X 8341-3:2004を起点として、JIS X 8341-3、WCAG、ISO/IEC、各ガイドラインが制定された時系列を下記にまとめます。
日付 | JIS | WCAG | ISO |
---|---|---|---|
2004年6月 | JIS X 8341-3:2004 | ||
2008年12月 | WCAG 2.0 | ||
2010年8月 | JIS X 8341-3:2010 | ||
2012年10月 | ISO/IEC 40500:2012 | ||
2016年3月 | JIS X 8341-3:2016 | ||
2018年6月 | WCAG 2.1 | ||
2023年10月 | WCAG 2.2 | ||
2024年以降(未定) | JIS X 8341-3:202x (?) | ISO/IEC 40500:202x (?) |
また、下記の画像では、各ガイドラインの関係性も示しています。
最初に制定された、JIS X 8341-3:2004については、各国のガイドラインを参考にはしているものの、あくまで日本独自の規格でした。
その後、WCAG 2.0の勧告をうけて、その内容を包含する形でJIS X 8341-3:2010として改訂され、さらにWCAG 2.0がそのままISO/IEC 40500:2012となったことで、この規格と一致規格となるよう、JIS X 8341-3:2016として改定されたという流れがあります。
よって、JIS X 8341-3:2016の達成基準を満たせば、それはWCAG 2.0でも同様に達成基準を満たしていると考えることができるわけですが、一方で、WCAG 2.1やWCAG 2.2を用いてウェブアクセシビリティ対応を実施したい場合には、現時点でそれに一致するJIS規格は存在しないということになります。
WCAG 2.2が勧告されたことで、今後はWCAG 2.2がISO/IECとして制定されるプロセスに乗るのか(WCAG 2.2がISO規格となった場合は、ほぼ自動的にJIS X 8341-3も、その一致規格となるよう改定されることになります)、その時期やスピードがどの程度になるのかが注目されます。