JIS X 8341-3:2016 における、「1.2.5 音声解説(収録済み)の達成基準」の原文は下記の通りです。
同期したメディアに含まれている全ての収録済みの映像コンテンツに対して,音声解説が提供されている(レベル AA)。
この達成基準は、全盲、あるいは視覚障害のある利用者に対して、同期したメディアによって伝えられる「視覚的な情報」へのアクセスを提供するものです。
「同期したメディア」とは、「他のフォーマットと同期した音声もしくは映像、または時間に依存するインタラクティブな構成要素と同期した音声、または映像」を指しますが、よりわかりやすく言えば音声付きの映像コンテンツや、アニメーションに対してそれと同期される形で再生される音声コンテンツなどのことです。
この同期したメディアによって伝えられる「視覚的な情報」とは、例えば風景を撮影した動画の中で、そこに実際に映し出されている建造物や自然の景観などが該当しますが、視覚による情報の取得ができない、あるいは困難な利用者は、そこに映し出されているものが何かについて解説がなければ、理解することができません。
そのため、映像コンテンツに対して音声解説ことが求められています。
適合レベルは「AA」に分類されています。
簡単な解説
具体的にどのような適合例が考えられるでしょうか。下記にいくつか挙げてみましょう。
- ある専門家 2 名による対談の動画が提供されています。動画には、登壇した人物や司会進行役などの登場人物が実際に話す会話以外の情報、例えば登場人物の特徴、会場の雰囲気、誰が発言しているのか、登場人物の表情の変化や重要なジェスチャーといった視覚的な情報が、主要な会話の切れ目で音声として提供されています。
音声解説について
音声解説は、映像内の人や物の動き、登場人物、あるいはその表情の変化や場面転換、画面上の文字に関する情報のうち、コンテンツを理解する上で重要、かつ主音声では説明されていない、あるいは話されていない情報など、すべてについての解説を提供することが求められます。これらは、主要な会話の切れ目などを利用して、映像の進行に合わせる形で提供される必要があります。
補足
なお、達成基準 1.2.3 「音声解説又はメディアに対する代替コンテンツ(収録済み)の達成基準」(適合レベル A)、および達成基準 1.2.8 「メディアに対する代替コンテンツ(収録済み)の達成基準」(適合レベル AAA)は、本達成基準(1.2.5)と相互に関係しています。
詳しくは、ページ下部にある「関連記事」部分、達成基準 1.2.3 「音声解説又はメディアに対する代替コンテンツ(収録済み)の達成基準」の解説記事をご参照ください。
また、会話の切れ間などを利用するだけでは音声解説の提供が難しい場合、達成基準 1.2.7 「拡張音声解説(収録済み)の達成基準」(適合レベル AAA)をあわせてご参照いただくとよいでしょう。