アクセシビリティとは

「アクセシビリティ」とは? アクセシビリティの基本概念と関連するガイドラインやアクセシビリティの向上プロセスについて解説します。

「アクセシビリティ(accessibility)」とは、ごく簡単にいえば「アクセスのしやすさ」を意味します。ウェブサイトやアプリケーションだけでなく、あらゆる製品や建物、乗り物、サービスなどに対しての「利用しやすさ」、「支障なく利用できる度合い」を指す言葉として使用されます。

日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第1部:共通指針」(JIS X 8341-1:2010)においては、「アクセシビリティ」を下記のように定義しています。

様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品,サービス,環境又は施設(のインタラクティブシステム)のユーザビリティ。

注記1 アクセシビリティの概念では,能力の多少を問わずすべての利用者を対象とし,障害者と正式に認められた利用者に限定していない。

注記2 ユーザビリティ指向のアクセシビリティの概念は,すべての利用者の能力の全範囲に十分に注意を払うと同時に利用の特定の状況を考慮し,できるだけ高い水準の有効さ,効率及び満足度を達成することを目指している。

あるいは、ISO 26800:2011においては、下記のように定義されています。

2.1 accessibility
extent to which products, systems, services, environments and facilities can be used by people from a population with the widest range of characteristics and capabilities to achieve a specified goal in a specified context of use

「規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針」(JIS Z 8071:2017)においては下記のように訳されており、こちらを「アクセシビリティ」の定義として用いる場合も多いです。

特定の使用状況において,特定の目標を達成するために,特性及び能力の異なる,より多くの人々が,製品,システム,サービス,環境及び施設を使用できる程度

IT 分野では「ウェブアクセシビリティ」という使われ方もしますが、この場合は「ウェブコンテンツ」、つまりウェブページやウェブアプリケーションによって提供される情報や機能に対するアクセスのしやすさを表します。ウェブコンテンツが特定の技術や利用者の能力に依存せず、さまざまな情報端末やソフトウェアから利用できることを目指し、「(ウェブ)アクセシビリティへの配慮」、「アクセシビリティを向上させる」といった言葉として使用されます。

ここで重要なのは、引用したアクセシビリティの定義における「能力の多少を問わずすべての利用者を対象とし,障害者と正式に認められた利用者に限定していない」という部分です。アクセシビリティは特定の利用者、例えば障がい者の方などに向けて何か特別なことを行うものではなく、すべての利用者が、等しく利用可能な状態を目指していくことが基本的な概念です。ウェブコンテンツにおいてもアクセシビリティは最も基本的な要件とも言えるでしょう。

ウェブアクセシビリティのガイドライン

では具体的にどのような方法でウェブコンテンツのアクセシビリティを確保し、その品質を評価すればよいのでしょうか?

そのよりどころとなるガイドラインはいくつか存在しますが、日本国内においては日本工業規格として制定されている、「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ」(JIS X 8341-3)を用いるのが一般的です。

JIS X 8341-3 は 2004年6月に最初の規格(JIS X 8341-3:2004)が制定されましたが、2010 年 8 月には、W3C が策定し、アクセシビリティガイドラインの国際的なデファクトスタンダードである「Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.0」の内容を取り込む形で改訂が行われています(JIS X 8341-3:2010)。

その後、WCAG 2.0 は 2012年に国際規格「ISO/IEC 40500:2012」となりますが、2016 年 3 月には、JIS X 8341-3 もこの ISO/IEC 40500:2012 の一致規格となるように再度改正されました(JIS X 8341-3:2016)。

これにより、「WCAG 2.0」、「ISO/IEC 40500:2012」、「JIS X 8341-3:2016」 という 3 つのアクセシビリティガイドラインが、お互いに内容が統一された同一の規格として存在しています。つまり、国内において JIS X 8341-3:2016 をガイドラインに採用してウェブアクセシビリティに取り組み、評価を行えば、その結果は国際規格とも一致したものとなります。

ウェブアクセシビリティの向上プロセス

アクセシビリティガイドラインに JIS X 8341-3:2016 を採用することが決定した場合、具体的にはどのように取り組んでいけばよいのでしょうか。大まかにいうと、下記のようなプロセスが一般的です。

  1. アクセシビリティガイドラインの中から、どの達成基準に対応するのか、対応するのはウェブサイト全体なのか、それとも特定のウェブページなのかといった方針を定めます。
  2. ガイドラインに従い、ウェブコンテンツを制作し、公開します。
  3. 公開したウェブコンテンツに対してガイドラインに基づいた試験を行い、達成基準がクリアされているかを確認します。

ウェブコンテンツは公開後も更新されたり、追加されたりしていきます。上記のプロセスを継続的にサイクルさせることで、アクセシビリティを向上させていきます。

1つめの方針に関して、JIS X 8341-3:2016 附属書JA「ウェブアクセシビリティの確保・維持・向上のプロセスに関する推奨事項」内の JA.1「企画」セクションでは、ガイドラインの適用範囲(原則としてはウェブページ一式全体を対象とし、対象とする範囲を段階的に広げていく場合は対象となる範囲や時期を明記する)や、目標とするアクセシビリティ品質(適合レベル)を定義した上で文書化し、「ウェブアクセシビリティ方針」として公開することを求めています。

また、3つめの試験に関しては、同 JA.4「確認」セクションにおいて、制作したウェブコンテンツが、方針として定めた達成基準をクリアしているか試験することが求められており、具体的な試験方法や、試験結果の表示方法に関しても附属書JB 「試験方法」において解説がされています。

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