近年、企業のウェブサイトやウェブコンテンツにおけるアクセシビリティ対応が注目を集めています。
弊社は創業以来10年以上、アクセシビリティ対応を含むウェブサイト構築のお手伝いをしてまいりました。しかし、創業当時と比べると、ここ数年、お問い合わせいただく企業の皆さまからは、アクセシビリティに対する理解度はもちろん、取り組みにかけるご予算や熱意も格段に高まっていると実感しています。
近年、インターネットやWeb(ウェブ)が日常のインフラとして定着し、多くの方がウェブサイトを情報収集や意思決定の重要な手段として活用しています。これに伴い、ユーザー体験の向上はもちろん、法的遵守やESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも、誰もが利用できる――インクルーシブな――ウェブサイトの構築が必須となりました。特に、アクセシビリティ対応は、もはや欠かすことのできない要件となっています。
本コラムでは、なぜ今アクセシビリティ対応が企業にとって不可欠なのか、その背景と具体的なメリット、そしてアクセシビリティ対応を怠った場合に生じる問題点について解説します。
実は、本コラムの内容は、弊社がアクセシビリティ関連のセミナーや勉強会、コンサルティングの際に、最初にお伝えしている内容です。これまでお客様には繰り返しご説明してきたのですが、外部向けの情報発信としては一度もまとめたことがなかったため、今回改めて整理してみることにしました。
そもそもアクセシビリティとは何か?
「アクセシビリティ(Accessibility)」とは、ごく簡単に言ってしまえば「アクセスのしやすさ」のことです。ウェブサイトやアプリケーションだけでなく、あらゆる製品や建物、乗り物、サービスなどに対しての「利用しやすさ」、「支障なく利用できる度合い」を指す言葉として使用されます。
「ウェブアクセシビリティ」のように「ウェブ」を付与して使われる場合は、特にウェブサイトに代表される「ウェブコンテンツ」におけるアクセシビリティという文脈になります。
日本工業規格「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第1部:共通指針」(JIS X 8341-1:2010)においては、「アクセシビリティ」を下記のように定義しています。
様々な能力をもつ最も幅広い層の人々に対する製品,サービス,環境又は施設(のインタラクティブシステム)のユーザビリティ。
注記1 アクセシビリティの概念では,能力の多少を問わずすべての利用者を対象とし,障害者と正式に認められた利用者に限定していない。
注記2 ユーザビリティ指向のアクセシビリティの概念は,すべての利用者の能力の全範囲に十分に注意を払うと同時に利用の特定の状況を考慮し,できるだけ高い水準の有効さ,効率及び満足度を達成することを目指している。
あるいは、ISO 26800:2011 においては、下記のように定義されています。
2.1 accessibility
extent to which products, systems, services, environments and facilities can be used by people from a population with the widest range of characteristics and capabilities to achieve a specified goal in a specified context of use
上記の定義は、「規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針」(JIS Z 8071:2017)において、下記のように訳されており、私は「アクセシビリティ」を説明する際、この定義をして用いる場合も多いです。
特定の使用状況において,特定の目標を達成するために,特性及び能力の異なる,より多くの人々が,製品,システム,サービス,環境及び施設を使用できる程度
ここで重要なのは、引用にある「能力の多少を問わずすべての利用者を対象とし,障害者と正式に認められた利用者に限定していない」という部分です。
つまり、アクセシビリティは特定の利用者、例えば障害者の方などに向けて何か特別なことを行うものではなく、すべての利用者が、等しく利用可能な状態を目指していくことが基本的な概念と理解すべきです。ウェブサイトにおいて、アクセシビリティは最も基本的な要件とも言えるでしょう。
企業にアクセシビリティ対応が求められる背景
先に述べたとおり、ウェブアクセシビリティ対応は、障害の有無にかかわらず、すべてのユーザーが快適に利用できる環境を整備する取り組みであり、「特定の利用者だけのための特別な対策」と捉えるのは誤解です。
アクセシビリティ対応は、視覚や聴覚、認知・運動能力に制約のあるユーザーはもちろん、例えば老眼をはじめとする加齢による身体能力の変化、あるいは一時的な身体の障害(怪我や病気により、一時的に認知・身体機能が低下する可能性は皆さんに等しくありえます)を抱えるユーザーにも、そして、障害の有無にかかわらず、様々な特性、および能力の異なる幅広い層のユーザーに対して快適な利用環境を提供し、「すべての人に使いやすい」ウェブサイト(ウェブコンテンツ)を目指すものです。
「すべての人に使いやすい」ウェブサイトが必要とされるのはなぜか
現代のウェブサイトは、単に情報発信の場に留まらず、ユーザーとの双方向コミュニケーション、ブランドイメージの形成、さらには採用・広報活動など、企業にとって重要なタッチポイントとして、多岐にわたる役割を担っています。
パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、様々なデバイスでの利用が当たり前になった現在、ユーザーは情報取得のために多様な環境からウェブサイトにアクセスします。
さらに、スマートスピーカーによるウェブサイトの音声読み上げや、翻訳ツールを使って海外サイトを閲覧するといった、生活スタイルやニーズに応じたデバイス、ツールの選択と活用は、皆さんも日常的に行っているのではないでしょうか。
アクセシビリティの観点から設計・実装されたウェブサイトは、このような様々な利用シーンに柔軟に対応することでユーザー体験(UX / ユーザーエクスペリエンス)が向上します。優れたユーザー体験は、そのウェブサイトに対するユーザーの信頼感を高め、結果として企業ブランディングの向上にもつながります。
逆に、アクセシビリティ対応を軽視し、利用環境や身体的特徴、能力により利用が困難なウェブサイトを提供すると、ユーザーからの好感度や信頼感が低下します。その結果、ユーザーの離脱や、商談・契約、購買機会の喪失など、重大な機会損失を招くリスクが高まります。
このようなリスクを回避するためにも、ウェブアクセシビリティの向上に努め、「すべての人に使いやすい」ウェブサイトを実現することが、企業にとって重要な戦略となります。
法的な視点からも求められるアクセシビリティ対応
アクセシビリティに関する法整備は国内外で進展しています。日本国内では、2016年4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(いわゆる『障害者差別解消法』)」が、2024年4月1日に改正され、改正版が施行されました。
改正された障害者差別解消法(以下「改正 障害者差別解消法」)では、事業者に対し「合理的配慮の提供」が義務化されました。詳細については、以前執筆した以下のコラムをご参照ください。
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」にも記載(下記引用を参照)の通り、ウェブサイトのアクセシビリティ対応(ウェブアクセシビリティガイドラインへの準拠などを含む)は、この法令で求められる「環境整備」(不特定多数に対する事前的な改善措置 / 努力義務)に該当すると考えるのが妥当なため、アクセシビリティ対応自体に法的義務が生じているわけではありませんが、ウェブサイトにおいても、利用における障壁の排除――バリアフリー化――が求められていることは明白です。
法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとしている。
すでに公的機関のウェブサイトにおいては、総務省が発行する「みんなの公共サイト運用ガイドライン」に基づき、ウェブアクセシビリティガイドラインへの準拠(JIS X 8341-3:2016 適合レベルAA)が求められています。また、社会的責任が求められる大企業においては、公的機関同様の取り組みが必要になる場合も多いでしょう。
さらに、海外市場を視野に入れるようなグローバル企業においては、米国のADA(Americans with Disabilities Act / 障害を持つアメリカ人法)やEUのアクセシビリティ指令への対応も必要になります。これらの法的規制に適合しない場合、企業は訴訟リスクを追うだけでなく、社会的信用や大切な顧客を失うといった大きなリスクを背負う可能性もあり、法令遵守は企業のリスクマネジメントの一環として取り組むべき重要な課題です。
アクセシビリティ対応のメリット
前述の通り、アクセシビリティ対応に注力することで、企業は「すべての人に使いやすい」ウェブサイトを実現でき、大きなメリットを享受できます。そのメリットについてもう少し詳しく解説していきます。
ESG、企業価値向上の視点からのメリット
ESG投資が世界的に注目される中、企業の社会的責任(CSR)としてアクセシビリティ対応は大きな意味を持ちます。例えば以下のように、アクセシビリティ対応が長期的な企業価値の向上やリスクマネジメントに大きく貢献する可能性があります。
社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)の推進
障害の有無にかかわらず、すべてのユーザーに情報を届ける取り組みは、企業が多様性と包摂性を重視しているという強いメッセージとなり、社会的信頼の向上に寄与します。これにより、投資家や顧客からの信頼が向上するだけでなく、採用活動などにおいてもプラスの効果をもたらすでしょう。
ブランド価値の向上
アクセシビリティを考慮したウェブサイトは、優れたユーザー体験を提供し、企業のイメージ向上に寄与します。ユーザーに「誰もが利用しやすい」という印象を与えることで、ブランドロイヤリティの強化にもつながり、結果として長期的な企業価値の向上に貢献します。
法令遵守によるリスク低減
「法的な視点からも求められるアクセシビリティ対応」セクションで触れたとおり、法的規制に対応することで訴訟リスクやブランドイメージの毀損リスクを回避、低減し、長期的な企業運営の安定性が向上します。
マシンリーダブルなコンテンツのメリット
アクセシビリティ対応は、人間のユーザーだけでなく、支援技術、検索エンジン、さらにはAI技術など、機械による情報処理の視点からもウェブサイトの評価や利用性を向上させます。
プログラムによって意味や文書構造が認知、理解しやすいコンテンツを「マシンリーダブル(機械判読可能 / 機械可読)」なコンテンツと呼びますが、アクセシビリティ対応のひとつの目的は、ウェブサイトをマシンリーダブルにすることです。
ウェブサイトがマシンリーダブルになることで、利用者の利便性向上、運用効率の改善、さらには企業の収益向上など、様々なメリットが生まれます。
以下に具体例をいくつか挙げます。
支援技術との連携で実現するユーザビリティ向上
障害の程度に関係なく、障害をお持ちのユーザーは、ウェブブラウザと併せて、音声読み上げ機能(スクリーンリーダー)、点字ディスプレイ、画面拡大機能、色調整機能など、各種支援技術(Assistive Technology)を活用してウェブサイトを利用しています。
マシンリーダブルなウェブサイトは、これら支援技術がコンテンツの構造、意味、役割を正確に把握できるよう最適化されているため、利用者は情報に直感的かつ迅速にアクセスでき、結果としてユーザビリティが大幅に向上します。
また、スマートスピーカーなど、運転中や作業中など画面が確認できない状況下でウェブサイトの内容を読み上げるデバイスや、翻訳ツールも、広義には支援技術の一部と捉えることもできます。このようなデバイスやツールでの利用においても、マシンリーダブルなウェブサイトは利便性を向上させます。
SEO(検索エンジン最適化)の強化
アクセシブルなウェブコンテンツは、意味論(セマンティクス)的に正しいHTMLによって構造化されるため、検索エンジンのプログラムにとっても理解しやすい情報となります。結果として、コンテンツの内容をプログラムが正しく理解し、評価すること容易にし、検索順位の向上が期待できます。
現在のSEOは、複雑な検索エンジンのアルゴリズムが関係するため、HTMLの構造だけで検索順位が大幅に左右されることはほぼありません。しかし、意味論的に正しいHTMLを記述することは基本的な要件として不可欠です。アクセシビリティ対応に取り組むことで、SEOにおけるマイナスポイントを極力排除することが可能になります。
また、意味論的に正しいHTML構造は、コンテンツの保守性や再利用性を高め、ウェブサイト全体の運用効率を向上させる効果も期待できます。
検索性(ファインダビリティ)の向上
マシンリーダブルなウェブサイトは、検索エンジンのクローラーなど、プログラムがウェブページ内の情報を正確に解析できるため、ユーザーが求める情報に迅速にアクセスできるようになります。これは、ウェブコンテンツのファインダビリティ(見つけやすさ)に寄与し、ユーザー体験の向上につながります。
また、ユーザーが必要な情報に迅速にアクセスできることで、利用者満足度が向上し、結果としてコンバージョン率の改善や売上向上にも繋がる可能性があります。
AIとの親和性
近年、チャットボットや音声アシスタントなど、AIを利用したサービスが普及しています。アクセシブルなコンテンツは、こうしたAIシステムとの連携がスムーズになり、より高度な自動化・効率化が可能となります。
また、海外のユーザーがウェブサイトの内容を翻訳ツールを利用して素早く利用できるようになるなど、情報の再利用性が高まることで、利便性が向上します。
アクセシビリティ対応がされていないことで困る人たち
アクセシビリティ対応が不十分な場合、障害の有無、あるいは障害の重さにかかわらず、様々なユーザーに影響が出る場合があります。以下にいくつかの具体例を挙げてみましょう。
音声読み上げや点字デバイスなどに頼っているユーザー
例えば視覚による知覚ができないユーザーにとって、支援技術なしにウェブサイトを利用するのは困難です。逆に言えば、支援技術の力を借りることでそのような方々でも問題なくウェブサイトを利用することが可能です。
しかし、アクセシビリティ対応が適切にされていない場合、ウェブページに記載されている情報が正しく理解できなかったり、重要なユーザーインターフェースが操作できないことで、ウェブサイトに訪れた目的を完遂できなくなる可能性があります。
他にも、聴覚に障害をお持ちのユーザーの場合、折角有益な動画や音声コンテンツが公開されていても、字幕やキャプション、あるいはテキストによる代替コンテンツが提供されていなければ、その内容を理解することは難しくなります。企業が予算をかけて丁寧な商品紹介動画を作っても、その内容が伝わらず、機会損失となっている可能性も考えられます。
冒頭でも述べたとおり、インターネットやウェブは今や日常のインフラとして定着しており、ウェブサイトが利用しづらい、あるいは利用できないことは、ユーザーに重大な不利益をもたらします。
色覚異常を持つユーザー
色覚異常とは、簡単に言えば特定の色の区別がつきにくい状態のことです。生まれながらにしてこの症状を持つ、先天色覚異常は、日本人の場合、男性の約5%、女性の約0.2%が該当するとされています。つまり、男性では20人に1人、女性では500人に1人の割合となり、決して希なことではありません。
このような方々は、多くの場合、日常生活に支障をきたすほどではないですが、一部の色が区別しにくいことで、コントラスト比が足りていない文字が読みにくかったり、「色」だけに依存した情報伝達(例えば『グラフの「赤」は売上で「緑」は利益です』といった)をされてしまうと、情報を読み取るのが困難になってしまう場合があります。
一時的な怪我や病気で身体機能が制限されたユーザー
若くて健康な人でも、日常生活の中で怪我をしたり、突然の病気になったりすることはあります。例えば、「交通事故で両腕を骨折。マウスが利用できず、パソコンを一時的にキーボードだけで操作しなければならない」ような状況になることもあるでしょう。
このような状況で、キーボードによる操作をまったく想定していない、アクセシビリティ対応に不備があるウェブサイトを利用しなければならなくなったとしたら、利用するのに大きなストレスを感じたり、場合によっては使うのを諦めてしまうかもしれません。
環境要因により利用が困難になるユーザー
例えば明るすぎる環境や、逆に暗い場所でウェブサイトを利用しなければならない場合、コントラスト比が適切に確保されていないテキストはとても読みにくいかもしれません。
また、騒音が多い場所や、音が出せない状況下で利用する場合は、動画コンテンツに字幕やキャプションがあると助かるかもしれません。動画の字幕やキャプションというと、耳が聞こえない方だけを対象にしていると思われがちですが、そうとも限らないのです。
もちろん、聴覚に障害をお持ちのユーザーにとって、字幕やキャプションの提供は、情報にアクセスするために重要な手段であり、アクセシビリティ対応においても、まずはそのようなユーザーを想定して行うわけですが、結果としてすべてのユーザーの利便性が向上する可能性があるという視点も大切です。
加齢などにより細かい操作が難しいユーザー
例えば高齢者の方をはじめ、パソコンのマウスや、スマートフォンの操作に慣れていないユーザーは、画面上の細かいボタンやリンクを正確にクリックしたり、タップするような動作が苦手な場合があります。
自動で動作し続けるカルーセル、スライドショーのようなユーザーインターフェースは、内容を理解したり操作する前に画面が切り替わってしまうかもしれません。また、制限時間内に入力を終えないと最初からやり直しになってしまったり、強制的にログアウトされてしまうようなシステムは、素早い操作が苦手なユーザーにとっては利用が著しく困難になったり、最悪の場合、利用を諦めてしまう可能性もあります。
加齢は誰にでも発生します。また、マウスの操作や文字入力のスピードなどに関しては慣れの問題もあり、人それぞれです。一定の認知・身体能力や、操作への習熟がなければ使えないウェブサイトというのはすべての人にとって使いやすいとは言えないでしょう。
あるいは、高齢者でなくても、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や自閉症スペクトラムの傾向がある方、あるいは感受性が高い方は、アニメーションなど、画面上で絶えず動き続けるコンテンツがあると集中力が奪われ情報の取得に支障をきたす場合もあります。アクセシビリティ対応に取り組むことで、このようなユーザーにとっても利用しやすいウェブサイトを実現することができます。
多様なデバイスを利用するユーザー
1人のユーザーが様々なデバイスを使い分ける現在、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレット、さらには音声アシスタントなど、ニーズに応じて最適なデバイスを使い分けるユーザーにとって、アクセシブルなウェブサイトは必須です。
例えば、会社のデスクトップパソコンで利用している時は問題がなくても、帰宅してから自分のスマートフォンで表示すると文字やボタンが小さくて操作しにくい、パソコン版では利用できた重要な機能が全く利用できないといったことがあれば、ユーザーは大きなストレスを抱えることになります。
このように、アクセシビリティ対応の可否は、広範囲のユーザーに影響を与える可能性があります。
まとめ:企業が今アクセシビリティ対応に取り組むべき理由
これまで、ウェブアクセシビリティ対応がもたらすユーザー体験の向上、法令遵守、技術革新への寄与について解説してきました。デジタル化が急速に進む中、アクセシビリティは単なる法令遵守や一時的なブームではなく、企業の成長戦略および持続可能な経営の基盤となっています。
最後に、企業が今こそアクセシビリティ対応に取り組むべき具体的な理由を簡略にまとめます。
競争優位性の確保
グローバル化と多様化が進む現代市場では、アクセシビリティ対応を実施する企業は、幅広いユーザー層の獲得という大きなメリットを享受できます。
特に、企業のウェブサイトが情報発信や顧客・ステークホルダーとのエンゲージメントを促進する主要な窓口となっている中で、すべてのユーザーが快適に利用できる環境を整えることは、競合他社との差別化に直結し、ブランド価値の向上にも寄与します。
長期的なリスク管理と投資効果
法令遵守やESG投資の観点から、アクセシビリティ対応は企業の長期戦略におけるリスク管理の一環と位置づけられます。
万が一の訴訟リスクを回避するだけでなく、社会的責任を果たすことで投資家やステークホルダーからの信頼を獲得し、持続可能な経営基盤の構築に寄与します。
技術革新との親和性
今後、AIやIoTなどの新技術がますます進化する中で、アクセシビリティ対応は単なる法令遵守や一時的なブームに留まらず、企業の技術革新やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に大きく寄与します。
また、マシンリーダブルなデータ構造を実現したウェブサイトは、各種新技術とのシナジー効果を生み出し、結果として企業の競争力向上に直結します。
企業の広報、採用担当、そしてウェブサイト運用・構築の意思決定者の皆様におかれましては、アクセシビリティ対応を戦略的な投資と捉え、すべてのユーザーにとって使いやすいウェブサイト作りを積極的に推進することを強くお勧めします。
アクセシビリティ対応、何からはじめるべきか?
コラムを最後までお読みいただきありがとうございます。企業がアクセシビリティに取り組むべき理由やメリットはわかった、では具体的に何をすればよいのか? という疑問をお持ちになった方もいらっしゃるかもしれません。
弊社では、昨年より、外部サイトである note にて、アクセシビリティにはじめて取り組む企業担当者様に向けたコラムを不定期掲載しています。以下に、昨年投稿したアクセシビリティ関連の記事をまとめていますので、ご興味があればぜひご覧ください。
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